エンタメとトキメキの毎日

気まぐれエッセイ

瞳の奥の世界

 金木犀の香水を身に纏うと、新橋演舞場の景色が思い浮かぶと同時に、濃い青色が複数回チラつく。何故かと記憶を辿ると、それが少年たちであるということが今日はっきりと分かった。 

 "金木犀はエモい” 彼のこの発言が影響で始まった私の金木犀ブーム〜’21秋冬〜。紅茶やハンドクリーム、シロップなど、様々なものにアンテナを張っていたが、この先駆けが『少年たち』のために買ったオードトワレだった。現場のために香水を買う行為そのものが既に特別感で一杯で、「ああ、私も大人になったなあ」と自己肯定感も上がる。購入が少し遅れてしまったことで届くか心配もしていたが、観劇当日の朝に届いたことに運命を感じ、出掛ける前に初めて身に纏ったあのドキドキとトキメキの情景は今でも鮮明に思い出すことができる。あまりの嬉しさに、即時にインスタのストーリーに載せたことも楽しくて懐かしい思い出である。

 

 

 4月から新社会人になった。この約一月の記憶と体感はまるで2ヶ月で、最近は未だ4月であることに驚くことが多い。まだ4月なの!?となるが、あと数日で次月になると考えると早いのか..?分からない。一日はあっという間に過ぎていくのにこれは不思議な感覚である。時間の進みはゆっくりに感じるものの、生活としては「変わらない」だ。インターン生として大学4年生から今の職場で働かせてもらっていたため、業務内容の変化だったり、勤務時間が延びたりはしたが、それ以外は正直あまり変わらず、ストレスもそれほど感じることもなく働いている。強いていえば、夕食と就寝する時間の間隔を3時間取れなくなったことが4月からの変化による一番のストレスだ。職場付近に引っ越さない限り、食事とは常に闘わなくてはならない。

 そして、私は、変わらず瑞稀くんのことが好きだ。気づけば好きになって一年がとっくに過ぎており、自身の中で揺るぐことのない確信的な地位を築き上げていることに驚き戸惑う。一年後もHiHi Jetsを好きでいれているのだろうか..。と不安でいたことが嘘のように私の生活に必要不可欠以上のものとして存在している。変わらず好きではいるが、身体の預け方は大分重く変わったように思う。この変化がとても楽しいし、嬉しい。

 最近は彼から癒しを頂戴することが多くなった。以前から癒しを貰ってはいたが、フリータイムが殆どだった学生が見る瑞稀くんと、限られた時間の中で見る瑞稀くんとは訳が違う。好き、可愛い、かっこいい、苦しい、ドキドキ、ツラい、しんどい、これらの感情をも含めた複雑な成分が脳内の穏やかさを取り戻してくれる。姿を見ると胃の中からじわじわとパワーが湧いてきて、身も心もあっという間にチャージされるのを日々実感している。

 そういえば、応援し始めてすぐに出した手紙に「アロマ,リラックス」といったことを書いた。こんな言葉を本人に伝えたこと自体が恥ずかしいが..(笑)、どれだけ当時より気持ちや応援の規模が大きくなっても、根底にある彼への想いは変わらないのだなと気づく。

 リラックス効果が最大限に発揮されるのは、『名脇役』だ。私は彼が歌うこの曲を考えない日はない。

 Sexy Zone名脇役』(2018)、この曲は瑞稀くんを好きになるまで知らなかった。いつ聴いても菊池風磨くんのお声に胸が苦しくなる。

 某動画サイトで「井上瑞稀 歌」と検索するとたしか上の方に出てくるのがこれで、何の名脇役なんだろう?とそれが曲名とも知らずにタップしたのが最初だった。一瞬で虜になった。

 彼の名脇役は小節の頭毎に心臓が “ギュッ” となる。大前提として歌が上手いが、そこに苦しさを乗せてくれるなんて、なんて表現力が豊かなんだろうか。前半と後半盛り上がり部分との変化が凄い。前半はタ行、特に「と」の発音が好きで、それが来ると鼓動が早くなる。「別に」の “べ“。これは苦しい以外の何物でもないのではないか..。胃がギュインとなり、切なさと彼の歌唱力の高さが最大限に表されている感じがする。あゝ良い(泣)と毎回なる。「何をしていたとしても」の “何を” も、低音にドキドキする。瑞稀くんには可愛いの感情が強くあるように思うが、低音では男の子をより強く感じることができて嬉しい。

 Bメロは「それさえも」の ”そ” の気持ち良い伸び、そして “さえも” の可愛い発声。この細くて可愛い歌声はサマパラ以降聴いていないが、今歌ったらまた違った名脇役になるんだろうなあと、変化を想像して脳内で再生をすることもある。これは映像の話になるが、少クラ同曲パフォーマンスでの「タラレバを繰り返して」の指折り表現が好きだ。瑞稀くんの歌では情景がよく浮かび、歌唱中でのお芝居がとっても上手だなと感じている。私が彼から目を離せない理由の大部分にこれがある。

 歌唱中の目が完全にその世界に入り込んでおり、井上瑞稀として存在していない感が否めず、目の奥からスンッと彼が描く世界観の中で生きている。特に無観客はお客さんに直接目を向けるタイミングがないため、この時間が多いのではないか。いつもこの瞳に惹き込まれ、別の世界で生きる時間に見惚れ、全力アイドルとして生きるエンターテイナーの彼から目が離せない。これらに関してはとても曖昧な表現になってしまうが、好きな人の好きなところははっきり表現できないくらいが私にはちょうど良い。瑞稀くんは兎にも角にも目が凄い。いつかこれについて同担さんと語り合いたい。

 名脇役の盛り上がる最後のサビ、ここからガラッと変わる雰囲気は彼の表現力と歌唱力の凄さで、主人公の決意も受け取ることができる。まず私が好きなのは、「むしろ忘れたくなんかないって」の “かないってー” の可愛さ、「体でも頭でもない」の “も” の伸びの気持ち良さ。これ、大野くんの声に少し似ている気がします。ああ上手いなあとここでいつも噛み締めるし、発声がA、Bメロとは違いすぎて毎回拍手喝采を送っている。その後の「です」も可愛くて仕方がない。そして私ががこの曲で一番好きなのが、「だからもう困らせてよ」の “こーまらせてよ” だ。”こ” の声とその後の “せ” の発音が本当に大好きで堪らない。”せ” が “し” に聴こえるところが瑞稀くんらしさが全面に溢れていて、めちゃくちゃ刺さり、ここだけで2.3回はリピートしてしまう。これについても分かり合える同担さんがいれば是非、いつか語り合いたい。

 他にも、「どうしたのなんか聞いてくんな」 の “くんな” だったり、曲のキラキラした音も含めていちいち好きだなあとなったり、その後も好きが延々と続いていく。「なんて言える訳もない僕はいつもと同じ顔で言う何でもないよ」もワンフレーズ全てが刺さる。主人公の諦めと切なさを感じつつも、どこか落ち着きや彼女と自身への呆れも受け取ることができる。ここが主人公の決意を感じられる一番の原因かもしれない。そしてこの曲の最後、「そんなことばっかを考えていること君が知るのはいつになるかな」これがあることでギュッと切なさが戻ってきつつ、少しねちこさも感じ、きっとその人は好意を向けられてることに気がついていると思うよ?とこの曲の主人公に言いたくなる。この主人公は絶対に重い人であると認識しているが、これは瑞稀くんが少クラで指輪を投げた演出を受けての解釈でもあると思う。今回のツアーでのソロ曲もしっかりとお芝居してるから、見ていて楽しい。可愛い姿を沢山見せてくれている瑞稀くん、そろそろ苦しいものも密かに期待して良いのかなとソワソワする。色々な世界観を見せてくれる彼は応援していて面白い。どんな世界でも全力で受け止めるよと、次回イベントのソロコーナーも楽しみに待っている。

毎日を必死に生きていたら、気づけば宮城公演が目の前まで迫っている。HiHi Jetsが作る極上のエンターテイメントをひたすらに浴びる幸せな2時間半を想像するだけで今から目頭が熱くなる。無事の開催を願い、未だ準備万端ではない自身の状態に焦る日々だ。

 今回はどんな香りを纏って行こうか、金木犀洋梨、私にとってのトキメキ材料たち。スプパラ宮城公演の記憶はどんな匂いと結びつくのか今からとても楽しみである。